スタッフブログ

父の背中で教わったこと

「お客様の言葉にならない想いをどう形にできるか」
「自分の技をどうすれば、その人の幸せにつなげられるか」
――私は、父からそう教わりました。

父は、弟子を常に十人抱える洗い張り職人でした。
職人たちは皆、住み込み。
だから私も、寝食を共にしながらその背中を見て育ちました。
朝早くから晩まで、水と布に向き合い、
黙々とアイロンをあてるその姿に、
“正直に生きる”という言葉の意味を見た気がします。

「うそをつくな。正直にいきろ。」
それだけは口で伝えられ、あとは背中で覚えろという人。
肥えた人には肥えた人の、痩せた人には痩せた人の
体の線を思い浮かべながら仕上げていく。

その丁寧な手仕事が、弟子たちに自然と受け継がれ、
やがて“阿吽の呼吸”のような関係を生んでいきました。
言葉ではなく、息づかいで伝わる世界――
それが、私の職人としての原点です。

親戚中が工務店という環境に育ち、
私の中には自然と“つくる血”が流れています。
図面を描き、現場に立ち、手を動かす毎日が、
私にとって何より楽しい時間です。


本物の職人とは

職人の好みでつくるのは芸術家。
依頼主まかせでつくるのは作業。
そのどちらでもなく、
双方の呼吸をあわせて「作品」をつくる――
それが本物の職人です。

お客様の想いをくみ取り、
自分の技と誠実さで形にしていく。
その“呼吸の合う瞬間”こそが、
ものづくりの喜びであり、私の原点です。

父と弟子たちの“阿吽の呼吸”の中で育ったように、
いまも私は、現場の職人衆と共に呼吸を合わせながら、
暮らしを丁寧に整えています。

その誇りを胸に、今日も正直に、
暮らしをつくり続けています。

代表 村上雅昭

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